ワインを海外から輸入代行して欲しいというご依頼をよくいただきます。

ワインは「お酒」であり「食品」でもあるので、輸入の難易度は高い部類に入ります。

税関や検疫所の仕組みはとても複雑で分かりにくいので、特にビジネスとしてワインを販売したい、自分のお店で提供したいと考えている方は困ってしまっている方が多いと思います。

特にEPA締結により欧州・チリ・アメリカなどのワインが関税ゼロとなったため、注目度は日に日に上がっているように感じます。

そこで、今回はどうやったらワインを海外から輸入できるのか、その手順やルールを分かりやすく解説したいと思います。

ワインの輸入ができずに困っている人は、ぜひ参考にしてみてくださいね!

ワイン輸入は「個人使用」と「商用」で仕組みが異なる

まず最初に、どんな商品も同じですが「個人使用」か「商用」かによってルールが異なります。

ワインなどのアルコール類は、各種税率が変わるだけでなく、免許が必要になったりもしますので、差が大きいジャンルとなります。

ワインを個人使用で輸入する場合

個人使用の場合は、「10kg未満で自分が消費するもの」であれば特に難しい準備は必要ありません。

10kgを超えると自分で消費するものではないと判断されるので、基本的には商用輸入となります。

なお販売用ではないという原則ですが、「自分で買ったものを後からやはりいらなくなったから売る」という行為は商用には当たらないので、罰則規定はありません。

なのでビジネスの序盤に、商用ではなく個人使用として10kg以内で輸入して販売を試すことは可能です。

関税や消費税が免除される(酒税は免除されない)少額免税ルールの対象にもなります。

ワインを商用で輸入する場合

ワインは関税がゼロになっていく傾向なので、輸入ビジネスをされる方には追い風となっています。

しかし、ワインを販売目的で輸入するには、食品衛生法の書類やお酒の販売免許の取得などの準備が必要となるほか、税金の計算なども複雑になります。

それぞれの原産国ごとに関税率が決まっている他、ワインの種類によっても細かく酒税の税率が違います。

参入障壁が高いので、それを超えてしまうとライバルの少ないチャンスの大きい市場とも言えます。

本格的に商用輸入を検討されている方は、以下のステップを参考にしてみてください。

商用目的でワインを輸入するときに必要なもの

商用目的でワインを輸入するために、具体的にどのような準備が必要なのかを解説していきます。

具体的には3つの行程に分かれます。

検疫所(食品監視課)に提出する書類

ワインを販売するためには、食品衛生法に基づいた書類を準備し、日本に輸入しても問題ないという「食品等輸入届出済証」を発行してもらう必要があります。

ワインの成分によっては事前の検査(モニタリング検査と言います)が必要とされる場合があります。

これは素人が準備するには少し大変な書類や手続きなので、私たちのような通関代行業者か乙仲業者を利用いただくのが一般的です。

ワインが日本に到着してから必要書類を作成し提出するという流れだと時間的なロスが大きく、莫大な保管料を請求する可能性もあるので、必ず輸入前に事前相談をするようにしましょう。

具体的に必要な書類は以下の通りです。

  • 食品等輸入届出
  • 原材料及び製造工程に関する説明書

原産国や製造環境によっては「衛生証明書」、新規メーカーや成分が不明な状況などでは「試験成績書」の提出を検疫所から求められることがあります。

一般的にワインの場合は、食品の輸入届けと製造工程表のみで済むケースが多いです。

税関に提出する書類

次に、これは全ての商用輸入の商品で共通ですが、以下の書類が必要となります。

  • インボイス(価格・数量・品名・原産国を記載したもの)
  • パッキングリスト(荷姿・本数・容積・重量が分かるもの)
  • 輸入申告書(税関に申告をする書類)
  • B/LまたはAWB(輸送手段・貨物所有権の証明になるもの)

また、関税優遇(EPAなど)を受ける場合には、原産地証明書も必要になってきます。

検疫所から受け取った「食品等輸入届出済証」と上記の必須書類を提出して、関税や消費税を支払うことで、ようやく荷物を受け取ることができる「輸入許可書」が貰えます。

酒税法・酒類業組合法に関する書類

ワインを販売するためには、お酒の販売免許を取得する必要があります。

免許は「酒販免許」とよばれており、用途ごとに販売できる場所や内容が違います。

  • 一般酒類小売業免許(お店や飲食店で、お酒の販売をすることができる)
  • 通信販売酒類小売業免許(インターネットやカタログによる通信販売ができる)
  • 酒類卸売業免許または酒類製造免許(酒販店や酒類販売業者に卸売することができる)

これは用途に応じて必要なものを実際に輸入する前に取得しておきます。

ワインの場合は、税関での提出書類に以下の2つの書類も追加で必要になります。

  • 酒税申告書(酒税を追加で納付するための申告書及び納付書)
  • 酒類の表示ラベル(輸入者名・アルコール度数・容量・原産国・アレルゲンなどの日本語ラベル)

検疫所と税関に提出する書類だけでも大変なのですが、これらの免許と追加書類が入るので、やはりお酒はより一層大変なステップとなります。

商用でワインを輸入するときにかかる経費

ワインを具体的に輸入した場合にはこんなコストがかかってくるということもご案内します。

大変さと様々な諸経費に見合うかどうかをじっくり検討してみてくださいね。

国際送料

ワインの原産国や販売国から、日本まで送るために必要な送料。

ワインの品質を保つため、温度・湿度が管理された専用のコンテナを使うことが多いです。

概算ですが、通常はコンテナであれば1kg=$0.5〜$1、空輸便であれば1kg=$2.5〜$3くらいが国際送料の目安になります。

これはかなり安い場合で、混載便などの利用の場合は2〜3倍の価格となる場合があります。

関税

課税価格の合計額が20万円以下の場合に適応される簡易税率と、それ以上の価格時に適応される一般税率があります。

一般税率では、EPAなどの貿易協定とワインの種類(果実酒かスパークリングワインか)や使用される砂糖の量などにより税率が決まっています。

  • 簡易税率・・・70円/L
  • 一般税率・・・15% or 125円/L の低い方(下限 67円/L)

実際の税率については非常に細かく分かれているため、必ず税関の職員に確認するようにしましょう!

関税は無税となる国も多いので、この辺りはよくチェックする必要があります。

酒税

ワインの酒税は1キロリットルあたりで決められていますので、単位に注意しましょう。

現在は1キロリットルあたり100,000円(1L=100円)となっています。

ワインは他の種類のお酒に比べると酒税が少し安いのでおすすめです!

税率は定期的に改定されるため、最新の情報は税関職員に聞くようにしましょう。

消費税

輸入時には消費税も必要になってきます。

計算方式としては、(ワインの本体価格+国際送料+関税+酒税)×10%で求められます。

本体価格だけに課税されると思っている人が非常に多いのでここは注意しましょう。

その他

その他、国内の輸送費や保管料、輸入代行業者の費用など、いろいろな諸経費が必要となります。

このように輸入のハードルも高く、お金もかかるジャンルとなりますが、だからこそビジネスとしては面白いかもしれません。

仕入額が販売金額の30%くらいであれば良い商材となるポテンシャルはありそうです!

ハワイにもとても美味しいパイナップルやパパイヤのワインも売っています。

よかったらぜひ輸入してみてくださいね!