海外でしか手に入らない食材や食品を輸入したいという方はとても多くいらっしゃいます。
ただ、口を付けるものや体の中に入るものというのは、たくさんの規制やルール、法律によって厳しく管理されています。
お客様からのご依頼でも半数以上がこの食品系なのですが、まずは複雑な食品の輸入手続きやルールを理解した上で、それでも輸入をしたいかをぜひ考えてみてください!
「え、そんなものまで食品の扱いになるの?」というものがあったり、逆に「意外と簡単に輸入できるんだね。」というものがあったり、様々なケースがあるのでぜひ色々な選択肢を模索してみてくださいね。
海外から食品を輸入するためのマニュアルとなっていますので、流れに沿ってご確認いただければ幸いです!
海外から食品輸入をする流れ

まず、食品でも「個人使用」であれば普通の貨物と同じように輸入することができるので、10kg以内のものはあまり心配する必要はありません。
大変なのは「商用」の場合なので、その流れについてご紹介します。
ここでは「自分で通関する場合」と「通関業者に依頼する場合」で手順が異なります。
自分で通関する場合の流れ
- 輸入したい商品を輸入可能かどうか検疫所(食品監視課)に確認する
- 問題なければ成分表や食品等輸入届出書を記載して提出する
- 実際に商品を購入して輸送の手配をする
- 商品が空港や港の倉庫に到着する
- 検疫所から指示があった場合は、成分検査やモニタリング検査などを行う
- 空港や港の税関にて関税等の支払いをして通関許可証がもらう
- 商品を受け取る
- 商品の日本語表示ラベルを作成し、商品を販売する
これが自分で食品を輸入して販売するまでステップです。
書類の手続きは大変ですが、通関業者の数十万円の費用を節約することができます。
通関業者に依頼する場合の流れ
- 輸入したい商品を決め、通関業者に手配を依頼する
- 実際に商品の購入して輸送の手配をする
- 商品が空港や港の倉庫に到着する
- 通関業者が輸入手続きを代行する(書類提出の依頼をされる場合もあります)
- 商品を受け取る(立て替えてもらっている関税等を支払う)
- 商品の日本語表示ラベルを作成し、商品を販売する
こちらが国際宅急便などのサービスを利用した場合のステップです。
基本的にやっていることは同じなのですが、手数料を支払うことで複雑な「通関に必要な手続き」を依頼することができます。
食品衛生法の対象になる商品

まず、輸入するものが食品のカテゴリー(食品衛生法の届出が必要なもの)かどうかを確認しましょう!
食品衛生法というのは「飲食によって起こる危険を防止するための法律」で、実は食料品だけではなく食器やおもちゃなども対象になります。
食器は食べ物が触れる、おもちゃは小さい子どもが口に入れる危険性があるということが理由です。
難しいと思うので、具体的には以下の商品が対象になると認識しておけば問題ありません!
- 食品全般(生鮮食品・加工食品)
- 添加物
- 食品に触れる器具
- 容器包装
- 乳幼児(6才未満)を対象としたおもちゃ
食品輸入をするための準備

輸入する商品が食品衛生法の対象となった場合は、「原材料表」と「製造工程表」を仕入れ元のメーカーに依頼しましょう。
原材料表とは「こんな成分がこのくらい入っています」という、その商品の詳細を知るもの。
製造工程表とは「この商品はこうやって作っています」という、その商品の作り方を知るもの。
それらを検疫所(食品監視課)に輸入相談という形で提出して、食品輸入の前に内容をチェックしてもらいます。
食品監視課では特に「色料、漂白剤、保存料、添加物、農薬、動物用医薬品」の6つのポイントを確認されていて、成分が問題ない場合、使用量が基準値を超えていない場合は、輸入ができるようになります。
海外では普通に販売されているものでも、日本ではNGのケースも結構ありますので、しっかり日本の法律に適合するかを確認する必要があります。
日本に商品が到着してから「輸入許可を出せません」というパターンは実はとても多いので、気を付けてくださいね。
ちなみに、メーカーにとってはこれらの書類はレシピを公開しているのと同じなので、ある程度の確率で出し渋られる場合があります。
その場合も食品監視課に相談して、自己責任で輸入をするリスクがないかも確認しておくことが大切です!
食品等輸入届出書の提出

食品衛生法に問題がないとなった場合は、「食品等輸入届出書」を作成して食品監視課に提出します。
これの書き方は非常に複雑で、自分でやるのはなかなかに難易度が高いので、必要に応じて乙仲業者さんに依頼するようにしましょう。
自分で対応する場合は、慣れれば実はそれなりに簡単にできるようになるのですが、最初は何回も修正が必要で、1ヶ月くらい時間がかかる可能性があることは覚悟しなくてはいけません。
食品等輸入届出書は、商品が到着する予定の7日前から提出できるのですが、それ以上に時間がかかることが多いので、発送前から準備をして、事前チェックを完了させておくのがベターです。
ちなみに、書類を提出する場所は「商品を通関する検疫所」となります。
提出方法は、検疫所窓口まで直接持参するかまたは郵送です。
提出時の注意点は以下の2点が必要になるので気を付けましょう!
- 2部提出する
- 返送用の切手を同封する
自分で書類を食品監視課まで持参してもいいのですが、かなり時間がかかる場合が多く、最悪はその日のうちに終わらないこともあるので、おすすめは2〜3日前に郵送をしておく形です。
あまり商品を保管しておくと、税関の保管料はかなり高いのでしっかりと準備しておかないと痛い目を見ることになります。
また書類に訂正がある時は、訂正印や訂正業務の委任状が必要になる場合もあるので不足がないようにしましょう。
食品輸入の成分検査とモニタリング検査

検疫所や税関では、提出された書類をもとに様々なチェックをしています。
輸入される食品が安全かどうか、あるいは法令に適合しているかをチェックするために、成分検査やモニタリング検査を指示される場合があります。
検査の結果によって、不合格となった場合は「積み戻し」か「廃棄」の選択を迫られることもあります。
成分検査とは?
添加物の使用基準が適切かどうか、有毒・有害物質が入っていないかなど、実際の商品を検査機関に提出して確かめる検査です。
その検査費用は、基本的には輸入者負担(平均2~5万円程度)です。
民間の専門会社に依頼して、税関までサンプルを採りに来てもらうような対応になります。
成分を調査して、後日その結果を検疫所に提出して問題がなければ次のステップへと進むことができます。
モニタリング検査とは?
実際に申告されている商品と実際の輸入状況が一緒かどうか、アンダーバリューになっていないかなど、検疫所や税関が抜き打ち的に、あるいは定期的にチェックする検査です。
検査費用は無料ですが、検疫所の場合は商品から規定量をサンプルとして提供する義務があります。
税関の場合は商品の個数があっているか、申告された価格は妥当かなど税金面でのチェックとなります。
どちらも基本的にはその場でチェックが完了し、問題がなければ次のステップへ進むことができます。
定期的な食品検査の場合は通関をさせてくれて、後日結果が届くような形です。
通関後から販売までの流れ

検疫所と税関の手続きに問題がなければ、晴れて許可通知書をもらうことができます。
この書類があれば商品の受け取りができるので、それ以外にすることは日本語表示ラベル作成だけです!
日本語表示をしなくてはならない理由
海外から輸入された商品には、日本語表示のシールが貼られていることを見たことがあると思います。
これは消費者が正しく商品の情報を認識できるものでなければいけないというルールで、日本で販売する商品には日本語での表記をすることになっています。
ラベル表示をしないで販売した商品によって消費者が食品を食べて健康を損ねた場合、輸入者も製造物責任を問われる可能性があります。
これは一度作ってしまえば簡単なものなので、しっかりやるようにしましょう。
輸入食品に日本語表示する項目
輸入食品に表示しなければならない内容は以下の通りです。
参考例として、実際に私たちのブランドコーヒーに使用しているものをご紹介します。
- 名称(品名)・・・レギュラーコーヒー
- 原材料名・・・コーヒー豆(生豆生産国名:ブラジル、コロンビア、他)
- 内容量・・・198g
- 賞味期限・・・パッケージ裏面の右下に記載(これは、「2025年01月01日」のように書いてもOKです)
- 保存方法・・・高温多湿の場所を避けて保存
- 使用上の注意・・・開封後はなるべく早くお召し上がりください。
- 販売者・・・株式会社ファンセンス、神奈川県大和市南林間1-10-1 杉本ビル、製造所固有記号は賞味期限末尾に記載
これは書き方がほぼ決まっているので、ルールに沿って記載をすれば問題ありません。
